18. 柱の太さと基礎
「この別荘は角柱が120ミリだからとても良い家ねえ」
先日、実家の母に図面を見せた時に開口一番、そんな台詞を聞きました。
「えっ?柱の太さってそんなに重要なの?」
と疑問を投げかけるカオリ。
「そうよ。柱の太さでその家が長持ちするかどうかが決まるのよ」
母はそんな当たり前のことも知らないの?といった調子で話してくれました。
なるほど。そんな視点があったんだあ。そう言えばカオリが建築をお願いしている一級建築士の円谷さんは「100年持つ家を建てます」と言っていたなあと思い起こしながら聞いていました。
そこで柱の太さについて調べてみたところ、木造住宅の命は柱にあると言われるそうです。家の中の柱は普通3寸5角、つまり10.5センチで、住まいの角にある2階まで通じる柱(通し柱)は4寸角、つまり12センチの柱を使うのが普通だそうです。家の耐久力を高めるためには柱は太ければ太いほどよいと言われています。カオリが建築をお願いしている一級建築士の円谷さんは柱の太さについては何もおっしゃられていませんでしたが、実はきちんと角柱を4寸角(12センチ)にしていてくれたのです。
調べてみると、柱の太さは素人にはわからないうえ、外からは見えない部分であるため、工務店や設計者が費用を削るために3寸角(10センチ)以下にしてしまうこともあるということです。強度計算上はそれでも一応は持つようですが、とても50年ももつとは言えず、まして「100年持つ」家にはなり得ません。家を建てる時には構造にこそお金をかけ、手間をかけてチェックすべきだと言われる所以です。カオリの実家の母は、設計図を見て開口一番、「角柱が120ミリだからとても良い家ねえ」と指摘してくれた訳ですから、見るべきところを見ています。カオリはそう指摘されるまでは全く意識していませんでしたが・・・。
考えてみれば、家を建て終わった後で基礎、土台、柱、梁の材質や太さを変更する訳にはいきませんから、この事に関しては妥協してはいけないのだと思いました。そして、今現在可能な限り最高のものを使っていった方が良いのです。
基礎についても少し触れておきたいと思います。基礎には独立基礎、複合基礎、布基礎(連続基礎)、ベタ基礎、杭基礎という種類があります。通常、別荘建築において採用されるのは布基礎(連続基礎)かベタ基礎のどちらかです。布基礎(連続基礎)とは、建物の壁の部分に沿って造る基礎で、比較的地盤の良いところでつかわれます。ベタ基礎とは建物の下全てを厚さ15cm以上の鉄筋コンクリートの床で覆ってしまう基礎のことで比較的地盤の弱いところでつかわれます。
以前、“三つのフリー”の章で書いた“ケミカルフリー”を実現するためには、例え地盤が弱くなくても、白アリ駆除剤を撒く必要のない“ベタ基礎”を採用する必要があります。ベタ基礎ではコンクリートを床下に敷き詰めますから、白アリや害虫がそれを食い破ってはい上がることができず、土台や柱材を蝕まれることはありません。なお、ベタ基礎にせずに布基礎(連続基礎)にした場合は、白アリ駆除剤を5~10年おきに撒く必要があります。1回の白アリ駆除剤散布費用は約30万円もかかるため、メンテナンスフリーとはならず、経済面でもたいへんな負担となります。もちろん、カオリが建築をお願いしている一級建築士の円谷さんが採用しているのはベタ基礎です。
カオリの別荘の基礎は外断熱という工法です。基礎部分を外側から断熱材ですっぽりと覆うことになるため、内部結露が起きにくく、耐久力がアップして寿命の長い家になるそうです。
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