33. エアコン暖房
最近は地球温暖化の影響もあり、夏の那須でも“冷房が必須”と言われるようになってきました。そこで別荘にエアコンを設置することになるのですが、都心の感覚で「暖房もエアコンで代用すればいいや」と考えるのは早計です。特に那須の冬の寒さは非常に厳しく、エアコンでは暖房能力が足りないということもありますが、そもそも普通のエアコンは、寒冷地での暖房には適さない装置なのだということは意外と知られていないようです。白状しますが、かく言うカオリも認識が甘く、“暖房もエアコンがあれば安心なのかしら?”と考えていたうちの一人です。ですが最近、ペンション「サライ」さんに宿泊した時にオーナーの中村さんが、「ペンションを建てたばかりのときに、お客様から全然暖かくならないと言われて初めて気が付いたんだけれど、エアコンには寒冷地仕様というのがあったのよお」と言われてビックリしました。そこで改めて詳細について調べてみたのですが、エアコンの仕組みについて知ってみると、“なるほど、普通のエアコンは寒冷地の暖房には適さないわ”と納得したのです。
最近、エアコンといえば冷暖房兼用のエアコンが一般的になっていますが、エアコンの暖房は、ガス・石油の燃焼器具による暖房や電気ヒーターによる暖房とは全く違う「ヒートポンプ」という方式で暖房します。ヒートポンプとは、熱のポンプという意味で、室外の熱を室内の暖房に使うものです。エアコンで夏に冷房するのと逆のサイクルで冬に暖房をするヒートポンプ方式では、電気は熱を運ぶためのポンプの動力として使います。ヒートポンプが、室外の熱を汲み上げて暖房するという原理上、室外の温度が低くなると暖房効果が低下するという特性があります。このため補助に電気ヒーターを組み込んだ製品もありますが、電気ヒーターを使うとヒートポンプの省エネルギー性を充分発揮出来ないというマイナス面があります。
また、エアコンで暖房したいという場合には、室外ユニットに[標準仕様]と[寒冷地仕様]がありますので注意が必要です。[標準仕様]のままだと、室外機内が凍りつき、ファンが固まってしまい、使用不可能、もしくは運転させても全く暖かくならないという事態が発生します。そこで[寒冷地仕様]では、室外機が凍結しやすい状況(外気温約5℃以下)であると判断すると自動的にヒーター加熱を開始し、室外機の凍結を防ぎ、使用可能な状態にしてくれるのです。
冬の寒さが厳しい那須では、はっきり言って普通のエアコンは暖房器具として全く適しません。石油ファンヒーターやガスファンヒーター、薪ストーブやパネルヒーターなど、別な暖房手段を用意するのがベストです。ですが、どうしてもエアコンで兼用したいという場合にも手段が無い訳ではありません。それは前述の[寒冷地仕様]の室外機を選ぶという他に、冷媒加熱システム(石油エアコン又はガスエアコン)を使用する方法です。冬期間に普通のエアコンで暖房を行う場合、外気温が低いため室外器の霜取りモードが作動したり、エネルギー消費効率が悪くなります。そこで、石油又はガスを燃焼して冷媒を加熱させ冬期間の暖房をサポートするというシステムが冷媒加熱システムです。長所は、一つのシステムで冷房と冬期間でも変わらない暖房が出来ます。短所は、石油又はガスを燃焼させて冷媒を加熱するため燃焼効率が多少低下し、又、多少のメンテナンスが必要となります。寒冷地でいま注目されているエアコンです。
冷房用にエアコンを設置しなければならないのなら、それで暖房も兼用できたらいいなあと考えるのはごく自然なことです。でもカオリは暖かい空気が頭上から吹いてくるエアコンがどうも苦手なのです。頭の方ばかり暖かくなってボッーとしてくるし、それでいて足元は冷え冷えとしています。できれば輻射熱を利用したパネルヒーターなど設置できたらいいなあというのが永年の夢だったのですが、今度の別荘でやっとそれが実現できそうです。ポカポカした別荘でソファに寝転がって好きな小説など読み耽っている。そんな姿を想像して、またしても一人でニヤニヤしているカオリなのでした。
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